1on1を価値ある時間に変える3つの力

1on1を価値ある時間に変える3つの力

人材育成やチームマネジメントにおいて「1on1」が効果が高い、といわれるようになって数年が経ちました。1on1というのは、簡単に言うと、上司と部下が、定期的に、1対1での会話の場を持つことです。私はずっと人事の仕事をしていますが、他社の方とお話していて、ここ数年で、導入した、導入するつもり、とお聞きする機会も格段に増えました。また、制度としては導入していなくても、自ら部下との1on1を実施している、という管理職の方のお話も、よくお聞きします。

一方で、1on1を実施しても、「なんとなくおしゃべりをしておわってしまう」「部下が話をしてくれない」「部下の成長に繋がっていない気がする」など、やってみたからこそ得られた課題と格闘されている方も多いようです。

そこで、今回は「1on1を価値ある時間に変える3つの力」について、一緒に考えてみたいと思います。
私自身が、人事やコーチとしての経験も踏まえて考える「1on1を価値ある時間に変える3つの力」は、次の3つです。

1.一人ひとりとの「関わり方のビジョン」を明確にする力
2.相手に興味を持つ力
3.聞く力

それでは、ひとつひとう見ていきたいと思います。

1.一人ひとりとの「関係性のビジョン」を明確にする力

私自身も、社員やメンバーと1対1で話す機会は多くありますが、誰もが最初から、たくさん話をしてくれるわけではありませんし、率直に話をしてくれるわけでもありません。じゃあ、1対1の場面で、最初からいろいろと話をしてくれる人は、どんな人かというと「元々関係性ができている人」だと感じます。1対1で話す前までに、一定のコミュニケーションをとって、すでに信頼関係が築けている人ほど、たくさんの話をしてくれるのです。

つまり、日常的に、メンバーと細かくコミュニケーションをとっていくことが、1on1で、相手がたくさん話をしてくれる下地になるということです。

とはいえ、日常のコミュニケーションをどのようにとっていけばよいのか、ピンとこない、という方も、いらっしゃるかと思います。どんな話を、どんなタイミングでするのがよいのかは、は相手によって違いますし、必ずしも、自分の言葉が、自分の意図した通りに受け取ってもらえるとも限らないからです。

この「日常のコミュニケーションをどうとっていくか」の指針となるのが、「この人とどんな関係を築きたいか」というビジョン、目標です。

「なんでも話してくれる関係を築きたい」と考えるなら、そんな関係を築けるようなの聞き方、話し方、話題選びは何か? を考えながら接していきます。一度で上手くいく、すべてが上手くいく、ということはないと思いますが、ビジョンや目標といった「ゴール」が明確であれば、どうやったらより効果的か? を考えることができ、達成に向けた試行錯誤が可能です。

そのため、「関係性のビジョン」を明確にする力を持つことで、1on1のベースとなる「相手との関係性」を築きやすくなるわけです。

2.相手に興味を持つ力

とはいえ、実際には、関係性を築く前に1on1をスタートしなければならない、ということもあるかと思います。

率直に話ができるような関係性がまだでいていない相手と会話するときに、私がしているのは、事前に相手の情報を調べることです。これまでどんな仕事をしてきたか、家族構成は、周囲との関係性は……たくさんの情報があれば、そこから会話のきっかけや、相手が話しやすいことを見つけ出せる可能性が高まります。

ただ、こうして、事前に集められる情報は限られています。なので、会話のその場でも、相手の考えていることや、感情表情から情報収集して、話のきっかけやテーマを掘り下げる契機を掴んでいく必要があります。

そのときに必要になってくるのが「相手に興味を持つ力」です。

興味を持てるかどうかは意識や心がけの問題、だとお考えの方もきっといらっしゃるかと思いますが、実は、そうではありません。

「相手に興味を持つ力」というのは、相手や、相手の発言をいろんな視点から見ることができる力、とも言い換えることができます。いろんな視点から見ることができ、相手を多角的に捉えることができることで、「自分も興味をもてるポイント」を見つけやすくなるのです。

そして、この「相手や、相手の発言をいろんな視点から見ることができる力」は、適切な指導や訓練によって、身に着けることができるもの。つまり「相手に興味を持つ力」は、スキルとして身に着けられるものなのです。

そして、「相手に興味を持つ力」がある人ほど、メンバーと広範な話や、より深い話をすることができます。

3.聞く力

ポイントの3つ目は「聞く力」です。

相手によりたくさん話してもらうためには「聞き方」が大事だと良く言われます。1on1研修で「聞き方」を学んで、実践している方も、きっといらっしゃることでしょう。それももちろん、間違いではないのですが、1つ理解しておきたいのは「聞き方を身に着ける」=「聞く力がある」ということではない、ということです。

例えば、あなたは、誰かと話していて、こんな気持ちになったことはないでしょうか。

目の前の人は、頷きながら自分の話を聞いてくれている。けど……

・なんとなく「反論があるんだろうな」とわかってしまった
・「付き合いで聞いてくれてるだけで、本当は興味ないんでしょ?」と感じてしまった
・頷きの圧が強すぎて、続きを喋るのがためらわれる……

相手の聞き方は正しくても、表情や声のトーンなどから、こんなことを感じてしまったら、きっと、話そうという気持ちが削がれてしまいますね。

また、たくさん話してくれたとしても、その内容の中から、本人が本当に考えていることを読み取れなければ、相手にとって有用なフィードバックをするのは難しいでしょう。

すなわち、「聞き方」以外にも、相手にもっと話したいと思わせる関わり方ができる力や、さらには、相手が自分でも把握できていないような思考や感情を会話の中で読み取れる力が備わって初めて、「聞く力」がある、と言えます。

1on1での理想の会話量は、「部下が7割、上司が3割」程度だと言われています。7割というのは、案外多いです。上司の方は「今日は部下にいっぱい話してもらえたな」と思っていたとしても、部下の方は「今日は上司がずっと喋っていたな……」と思っていることは、実は少なくありませんし、「たくさん話はしたけど、本音は結局言えないままだったな……」ということも、少なくありません。けれど、部下がそれを率直に伝えてくれるのは、非常にまれです。私たちは、そのことを、よく肝に銘じておかなければならないと思います。

4.おわりに

1on1、をインターネット調べると、「1on1の効果」や「段取り」、「進め方」などの情報が多くヒットします。

ですが、実際のところは、どれだけ効果を理解し、段取りを整え、進め方の通りに行動したとしても、上手くいかないことは山ほどあります。なぜなら、段取り以前に、上記の「1on1を価値ある時間に変える力」が、必要となるからです。

1on1導入に伴い、コーチング研修が導入された会社も多くあると思いますが、コーチング研修は、主にこの「3つの力」を身に着けるためのものです。

現在、コーチング研修を受けている方や、過去に受けたことがある方は、今回ご紹介した

1.一人ひとりとの「関わり方のビジョン」を明確にする力
2.相手に興味を持つ力
3.聞く力

という3つのポイントを定めて、研修に臨んでいただいたり、振り返っていただくと、きっと、より大きな学びを得られるのではないでしょうか。

また、会社としてのコーチング研修がない、という方は、ご自身でコーチング講座などを受講して、この3つの力についてより詳細に学び、身に着けることで、ご自身の1on1の質が、飛躍的に向上することでしょう。

部下の力、チームの力をより引き出すために必要なのは、新しいメソッドではなく、リーダーである自分自身の成長やスキルアップであることもある

その視点を、ぜひ持っておいていただければなと思います。

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